現場所長の理想は「繊細かつ大胆」ですが、逆にとらえれば、繊細の裏側は神経質、大胆の裏側はいいかげんなのです。日本語の表現は実に面白く、人の長所や短所もそうです。気が短いけど判断は早い人。判断は遅いけど思慮深い人。そんないろいろな人間を使うのですから、現場で一番難しいのが人の管理なのです。
その為に誉めたり、怒ったり、なだめたりいろいろしなければなりません。 以前のOJTは怒ったり、怒鳴ったりだけですんだのですが、今や誉めないと、OJTにならないそうです。「誉めておだててその気にさせて教える!」これが育成の極意だそうです。
だから、まず部下の誉めることから始めなければなりません。しかし、そうはいってもいきなり誉めるわけにはいかないのです。そこで、まず簡単な仕事をさせてみます。簡単だから100%近く出来るでしょう。そうすれば誉める口実が出来ます。次にちょっと難しい仕事をさせてみます。完璧には出来ないと思いますが、7〜8割程度できたら誉めてやるのです。それから悪かったところを叱るのではなく教えてあげるのです。 
以前、私が現場の所長をしていた時、私自身もあまり人を誉めることはしませんでしたが、その気にさせて成功したことはあります。当時「これはかなり難しい施工だな!」と思っていた工事がありましたが、主任には「おまえなら絶対できる。だから、やれ!」と言ってその気にさせてやらせたことがありました。いろいろとたいへんでしたが、見事にその工事を完成させました。私自身が思っていた以上の成果でした。主任にしてもかなり自信がついたと思います。着工前は「おたくの会社で、うちの仕事が出来るの?」と言っていた当時の設計の先生も最後には「所長とは又一緒に仕事がしたいね!」とまで言ってくださいました。
 所長がいて主任がいて担当者がいることが現場の理想ですが、やはり昨今の世間の事情ではそうもいきません。派遣社員や他社の社員も使って現場の施工管理をしなければならない状況になってきています。そんな人間を使うのですから、よりいっそう難しい人の管理になります。いろいろな社員や協力会社の人々を誉めて、おだててその気にさせて、たまには怒ったり、なだめたり「ほめて、しかって」使っていかなければならないのです。
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